幸せは海から 爬竜船漕ぎ豊年祭 竹富・黒島


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 【黒島=竹富】爬竜船(はりゅうせん)漕(こ)ぎの儀式で幕開けする竹富町黒島の「豊年祭」が2日、宮里海岸で行われ、来年の豊作を祈願し住民らが爬竜船競漕(きょうそう)や弥勒(みろく)行列などの芸能を奉納した。浜を舞台とした独特の豊年祭に地域住民や関係者のほか、観光客も多く訪れ、披露される儀式や踊りを楽しんだ。

 黒島では琉球王府時代、作付面積を競う勝負で引き分けになり、綱引きから海上での船漕ぎ競漕まで持ち込まれ勝敗を決した年に、これまでにない豊作となった。それ以来、豊かさや幸せは海を渡ってもたらされると信じられ、爬竜船漕ぎを中心とした伝統行事となっているという。
 豊年祭は若者らが爬竜船に乗って海上で祈りや歌をささげる「朝漕(く)い」で開幕した。村対抗の爬竜船競漕は代表者が浜を走り爬竜船に飛び乗ると同時に船を漕いで、海上の浮きを拾って往復し、再び代表者が浜を走ってゴールを目指す勝負で、各チームが熱戦を繰り広げた。
 宮里村の浜を走る役「ウーニ」を務めた八重山農林高校3年の渡久山義樹さん(18)は「転ばないか緊張した。地域の行事に参加し、大事な役目を無事終えることができて良かった」とほほ笑んだ。

「朝漕い」の儀式を行う地域の若者ら=2日、竹富町黒島の宮里海岸
奉納芸能で登場し、豊作を願い舞を披露する弥勒行列