アレルギーに理解を 糸満市教委、学校での対応探る


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それぞれの立場から学校での食物アレルギー対応について報告する登壇者=7月30日、糸満市農村改善センター

 【糸満】糸満市教育委員会は7月30日、学校関係者や保護者を対象に「食物アレルギー対応研修会」を同市農村改善センターで開催した。市内で食物アレルギー対応に取り組む学校教諭や給食センター職員、行政、保護者らが登壇し、実践と課題を報告した。

 市は本年度、食物アレルギー児童の状況を把握し、緊急時の対応ができるよう「糸満市食物アレルギー対応手引き書」を作成し、市内の幼小中学校全26校に配布した。各学校は手引書に沿って、校長や養護教諭、学級担任らで構成する校内食物アレルギー対応委員会を設置し、給食時や緊急時の対応方法を確認している。
 研修会は、現場対応している関係者の声を聞き、課題を探ることで手引書の内容をより充実させようと開催された。教諭や保護者ら約250人が参加した。
 登壇した兼城小の仲村佐代子教諭は「給食時に牛乳の代わりにお茶を持参して飲んでいるアレルギー児がいる。食べ物の好き嫌いではなく、命に関わることと生徒たちにきちんと伝え、理解を深めるために食物アレルギーに関する絵本を読み聞かせている」と報告した。
 児童生徒が旅行土産などの菓子をクラスに持ち込むことについては、さまざまな意見が出た。「集団においては安全を優先することが必要」として菓子の配布を禁止する学校がある一方、「子どもたちの楽しみをなくすのはアレルギー児を持つ親として申し訳ない気持ち」「各学年で食物アレルギーの理解度が違う。学年やクラスごとに担任が配慮してほしい」との声も聞かれた。宿泊学習など課外活動時の対応についても話し合われた。
 那覇市立病院の新垣洋平医師は「アレルギー児の安全と同時に、学校で孤立しないようにバランスを取ることが必要」と指摘。「誤食が発生した時にはエピペンや薬の使用をためらわないでほしい」と呼び掛けた。