「命名畳」いかが 琉球畳普及へ“新風”


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長男・光君の「命名畳」を手にする高江洲周作さん=小禄の「たかえす畳店」

 県産ビーグ(イグサ)を使用した琉球畳の素晴らしさを広めようと、故郷・宮古島を飛び出して2014年10月、小禄に畳店を構えた若手職人がいる。高江洲周作さん(36)で、子どもが生まれると壁に張る「命名紙」の素材を畳表に置き換えた「命名畳」を開発。

会員制交流サイト(SNS)を活用した情報発信にも積極的に取り組み、県内畳業界に新風を吹き込もうと奮闘している。
 実家は宮古島市平良の老舗畳店「高江洲たたみ店」。高校生で実家を手伝い、基本的な技術を身に付けていたが、卒業後に福岡県の畳職人訓練校や畳職人の下で本格的に学んだ。25歳で畳製作1級技能士を取得。「1級を取ってから自分のやりたいことができるようになり、畳職人の仕事が楽しくなった」と振り返る。
 28歳で宮古島に戻り、実家で働きながら畳をベースにしたさまざまな小物を「遊びながら」(高江洲さん)作り続けた。その中から生まれたのが命名畳で、兄・幸治さん(45)や知人の協力も得て、印刷が難しい天然素材の畳表に特殊技術で文字や絵柄を美しく描けるようになった。
 「新婚旅行で大阪に行ったら、初日から気になっていた畳屋さんに会いに行き、SNSを活用したPRのやり方を学んでいた」と苦笑いする妻・綾乃さん(34)だが、夫のひた向きな姿勢を信頼し、共に歩んできた。高江洲さんは、畳製作の技術力と普及にかける熱意が認められ、14年度には県知事優秀技能士として表彰された。
 「子の誕生を喜び、健やかに育ってほしいという親心から命名畳が生まれた」と語る高江洲さん。この命名畳は沖縄本島進出の名刺代わりだ。
 「畳なんて古いという概念を覆して、畳文化に貢献したい」。心を和ませてくれる畳の香りのように柔和な笑みを浮かべながら、力強く宣言した。
 たかえす畳店は(電話)098(996)4151。