「海のお花畑」輝く ヒメジャコ稚貝追加


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 【本部】県栽培漁業センター(本部町)は、本部町浜崎漁港内の人工リーフ上に設置したヒメジャコの「海のお花畑」に7月31日、1センチほどの稚貝を活着させた新たな基盤を追加設置した。

3年連続の取り組み。13年6月に設置した稚貝は1年8カ月で3倍近い29.5ミリとなり、昨年7月に設置した稚貝も同様の期間で24.9ミリに成長している。生残率も9割を超えており同センターは生育状況は良好としている。ヒメジャコの色彩が美しいことから「お花畑」は観光資源としての活用にも期待されている。
 ことしは同センターの職員や漁協関係者らが、干潮に合わせた時間帯に17人集まった。1枚24個体の稚貝が付着した基盤120枚を一枚一枚丁寧に設置。総数2880個体の小さな命が「お花畑」に仲間入りした。
 ヒメジャコは県内では食用として養殖、放流されている。一方で成長が遅く、収穫まで5年以上かかるという。青色や紫色など美しい色彩が水面に輝き、観賞用としての付加価値を併せ持つとされている。
 民泊受入本部町推進協力会では「お花畑」観察会を実施しており、今回も会員らが環境教育の一環として追加設置に協力。民泊事業を展開する合同会社健堅の仲栄真雅宏代表社員は「子どもらへの環境体験に最適で、自然との触れ合いを喜んでくれる」とお花畑の活用意義を強調した。基盤設置に参加した同会の稗田奈津美さんも「お花畑は地元にとっても大切な資源」と話した。
 県栽培漁業センターの中村勇次主任研究員は「順調に育っている。観察の場としても有用な場所となっている」と稚貝のさらなる成長に期待した。

13年に設置され、約3センチと順調に成長しているヒメジャコ=7月31日、本部町の浜崎漁港人工リーフ
基盤を設置する関係者ら=7月31日、本部町の浜崎漁港人工リーフ