完成度高め再演 「炎の鐘」華やかな終幕


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
あの世で踊る宿の女(左から2人目・花岡尚子)と中城若松(同3人目・金城真次)=7月27日、浦添市の国立劇場おきなわ

 舞踊劇「炎の鐘」が7月27日、浦添市の国立劇場おきなわで上演された。エーシーオー沖縄などが主催する2015国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ(りっかりっか*フェスタ)の開幕公演。昨年のフェスタで初演された「鐘」を練り直した。

宿の女と中城若松の恋があの世で成就する場面を最後に盛り込み、完成度を高めた。
 組踊「執心鐘入」などの基になった道成寺伝説を題材にノンバーバル(言葉を使わない)で表現した。旅の中城若松(金城真次)に宿を貸した女(花岡尚子)は恋心を抱く。だが若松は逃げ出し、女は追跡の果てに若松を焼き殺す。
 前回は女が座主らに鎮められた後、鐘の向こうに寄り添う女と若松が浮かび上がり、あの世での恋愛成就を連想させた。今回は天上を思わせる白い空間で女が鬼の面を外し、若松と踊る演出に変えた。分かりやすく華やかなフィナーレになった。
 脚本・演出のふじたあさやは「時代の制約で恋愛を成就できないという悲劇だが、幻想の中で自由な恋愛を求める観客の気持ちを前面に出した」と話した。若松が旅に出る前に学問に励む場面も新たに盛り込み、若松が使命と恋の間で葛藤する様子を強調した。
 音楽は川崎絵都夫(えつお)。今回は歌三線をより前面に出した。女の心情を表現した島袋奈美の歌には力があり、海外の観客にも伝わったようだった。知花小百合によるダイナミックな振り付けも魅せた。
 宇座仁一、岸本隼人、砂川政秀は若松の学友や僧、炎などを器用に演じ分け、主役を支えた。
 12月11日、来年1月8日に同劇場で再演される。沖縄芸能マグネットコンテンツ舞台公演の一環。主役2人は金城、花岡、知花、田口博章のダブルキャスト。
 問い合わせは(電話)098(887)1333。