軽便鉄道資料が現存 元与那原駅長遺族が保管


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 【与那原】県営鉄道(軽便鉄道)与那原駅最後の駅長を務めた故・知念松盛さんの辞令書や感謝状など、軽便鉄道に関する資料約25点が現存していることが、このほど分かった。エッセイストで軽便鉄道に詳しいゆたかはじめさん(87)が10日、与那原町立軽便与那原駅舎展示資料館で資料を確認し、「沖縄戦でほとんどの資料が焼き尽くされている中、かなり貴重な資料だ」と評価した。

 資料は国場駅、桑江駅、与那原駅の駅長辞令書や、東京鉄道学校の卒業証明書、履歴書、アルバムなど。松盛さんの長男・宏さん(71)が約10年前、「家宝」と書かれた木箱の中に保管されているのを自宅で見つけた。
 保存状態は良好。中には日本陸軍からの感謝状もあり、軽便鉄道が軍事目的で使用され、重要な役割を担っていたことがうかがえる。
 松盛さんは県立二中を卒業後、1927年から県鉄道管理所に勤務し、国場、桑江、与那原各駅の駅長を歴任した。戦後は野村流古典音楽保存会会長も務め、98年に亡くなった。
 「資料がそんなに貴重な物とは知らなかったので、正直戸惑いもある」と宏さん。「今後はしかるべき機関に収め、保管したい」と話した。
 ゆたかさんは「軽便が走った、平和で古きよき時代の様子を知ることができる資料だ。家宝どころか県の宝だ」と強調した。

知念宏さん(右)が見つけた資料を確認したゆたかはじめさん。資料の入った木箱には「家宝」と書かれている=10日、与那原町の町立軽便与那原駅舎展示資料館
(右から)国場駅、桑江駅、与那原駅の駅長辞令書