「ゆがふ製糖」正式合意 翔南と球陽が契約調印


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合併に正式合意する翔南製糖の仲里源勇社長(左)と球陽製糖の志良堂勝啓社長=21日、那覇市の自治会館

 翔南製糖(豊見城市、仲里源勇社長)と球陽製糖(うるま市、志良堂勝啓社長)は21日、那覇市の自治会館で契約調印式を開き、合併に正式合意した。9月1日付で新会社「ゆがふ製糖」を設立する。総会後の取締役会では、代表権を持つ社長に知念宏彦翔南製糖常務(57)が就任するなどの役員人事も承認した。新会社は2016年3月をめどに、県やJAと連携しサトウキビ振興に向けた施策をまとめる方針だ。

知念社長を除く常勤役員は、専務に大田一球陽製糖常務(59)、常務に山口順次翔南製糖常務(60)が就く。非常勤の会長には株主である金秀興産の宮城寛清副会長(70)が就任する。
 調印式の前には、同会場で翔南製糖が株主総会を開き合併を承認。球陽製糖は7月中に開いた株主総会で既に承認していた。
 新会社は翔南製糖が存続会社となり、球陽製糖を吸収合併する。本社は現在の球陽製糖に置く。両社は農家の高齢化などを背景としたキビ生産量の減少で工場稼働率の低迷が続いていることを受け、数年前から合併に向けた交渉を続けていた。
 調印式では、新会社名の頭文字である「ゆ」の形をイメージしたロゴマークも発表した。丸く描いたオレンジ色の大地から、2本の緑の棒で表現したキビが芽を出す。「豊作」の願いを込めた。
 新会社の設立と同時に退任する仲里社長は「キビを取り巻く情勢は非常に厳しいが、県の基幹産業には変わりない。関係者が一体になることが増産につながる」と激励。志良堂社長は「原料の減少に伴い今回の合併となったが、キビ産業を支える一つのきっかけにしたい。われわれは勇退するが、今後も新役員を支えたい」と述べた。
 新社長に就任する知念常務は「これまで製糖会社が取り組んできたことを検証し、キビ振興に向け施策を考えたい。県やJAとも定期的に会合を持ち、農家に心配をかけないようスムーズに製糖を開始したい」と意気込みを語った。