心地よい中低音響く ユーフォニアム・鈴木孝一郎


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ユーフォニアムの心地よい中低音を響かせる鈴木孝一郎(中央)ら=18日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール

 県出身で米国を中心に活動するユーフォニアム奏者・鈴木孝一郎のリサイタルが18日、那覇市ぶんかテンブス館テンブスホールであった。昨年に続き2年連続の開催。「中低音が魅力」(鈴木)と語る心地よい音色がホールに響き渡った。

 金管楽器の一つで普段は脇役として演奏を支えるユーフォニアム。鈴木は1996年に県立小禄高校卒業後、渡米。マーチングバンドを渡り、2001年にウィスコンシン州立大学ミルウォーキー校音楽学部入学、以降は主に米国で演奏活動を展開している。
 昨年は妻・鈴木ユリア(チェロ)など気心の知れた人々とのリサイタルが盛況だった。今回は鈴木の親しい友人で、作曲家としても活動するマット・マーチソン(ユーフォニアム)、ベニー津波(ピアノ)が出演した。
 幕開けは鈴木とベニーによる「バリトンコンチェルト 1.フュージョン」。軽快さや勇壮さなど、めまぐるしく印象を変える1曲。2曲目はマーチソンが自身の曲「プリシスタンス」を演奏した。「ウィンドー オープンズ トュワーズ オーション」は3人での演奏。雄大で柔らかいピアノと2台のユーフォニアムが織り成す音色は重厚でありながら温かい風景を演出した。
 「2週間前に書き終えた」(マーチソン)と話す「ディスクワイエット」は独特のテンポで観客を引き込む。鈴木も「ブルーレイクファンタシー」で米国で研さんを積んできた技術を発揮する。鈴木とマーチソンによる「サットコ」はマーチソンが奏でるベースのような低音が響く中で、鈴木が高らかなメロディーを刻む。終盤に向かうにつれ、2人の役割が入れ替わり、鈴木は低音をマーチソンが中低音で響かせる。「てぃんさぐぬ花」でも独特のアレンジを組み込んだ。
 リサイタル前に「家族や友人の前で演奏するのはほっとできる」と話していた通り、軽妙なトークで笑いが起こった。リラックスした中で家族や身近な人に成長した姿を見せ、また海外でユーフォニアムの魅力を伝えていく。(大城徹郎)