IT人材需要把握へ 県情報産業協会が初調査


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 県情報産業協会(根路銘勇会長)は、県内IT業界の人材需要の把握に乗り出す。10月中にも結果をまとめる。同協会による人材需要の把握調査は初めて。県内ではIT企業の集積が進む一方で、ソフトウエア開発やコンテンツ制作の技術者など求められる人材の多様化が進む。

人手不足との指摘も多い。県の「おきなわスマートハブ構想」が進む中、将来的に各分野で必要な人材の規模を把握することで、より計画的に構想実現を図る。
 9月上旬までに県内約200社に対しアンケートを送付する。県内に事業所を置く県外企業も対象とし、沖縄での雇用数を聞く。調査の実施は19日の理事会で決定した。
 アンケート内容は「(2015年までの)直近3年間の採用人数実績」と「(20年までの)今後5年間の採用見込み数」。大学院、大学、高専、短大、専修、高校卒の学歴別でそれぞれの数字を記入する。新卒者採用の対象とする学歴も問う。備考欄では行政や団体への要望などを自由に記述できる。
 結果はコンテンツ制作やコールセンター、データセンターの運用・管理、ソフトウエア開発、機器検証など事業内容ごとに企業を区分けし、それぞれの需要を把握する。
 採用する学歴も分野ごとに傾向を分析する。同協会の渡真利哲事務局次長によると、IT業界における技術者育成の必要費用は、入社後3年間で1人当たり約1千万円が目安。しかし早期離職者も多く、企業の新卒採用意欲の減退を招く恐れもあるという。
 協会は調査結果を基に、行政とも連携し雇用のミスマッチを防ぐ対策を検討する。
 渡真利次長は「東京五輪や金融、保険など業界再編に伴うシステムの改変、マイナンバー制度などIT関連の仕事が多いとみられる20年までの需要をまずは把握したい。求められている人材や人数が分かれば、行政や経済団体も対策が打てる」と今後を見据えた。(長嶺真輝)