8危機言語 課題共有 文化庁、初の研究協議会


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協議会で意見交換する石原昌英教授(中央)ら=27日午後0時50分ごろ、文化庁

 【東京】文化庁は27日、ユネスコが消滅危機と指摘する国内8言語・方言などの状況改善につなげる「危機的な状況にある言語・方言に関する研究協議会」の初会合を開いた。

琉球大学法文学部の石原昌英教授と、県文化振興課の新垣久美子班長が県内でのしまくとぅばの普及状況や課題などを報告。アイヌ、八丈、奄美の研究者らと言語・方言継承に向け意見交換した。
 ユネスコが指摘する国内の危機的言語のうち、最も危機的な状況にある「極めて深刻」な言語に「アイヌ語」、それに次ぐ「重大な危険」な言語に「八重山語」と「与那国語」、「危険」な言語に「沖縄語」「国頭語」「宮古語」「奄美語」「八丈語」が分類されていることが報告された。各地域の研究者や行政担当者らが委員となり、現状や課題を報告した。
 石原教授は、しまくとぅばに関する県民意識調査や教育現場での取り組み状況などを説明し「県民の多くが保存、継承を望んでいるが実際の活動に結び付いていない」と課題を挙げた。
 新垣班長は沖縄では地域を「シマ」と呼ぶため、各地の言葉を「しまくとぅば」と総称していることを紹介。県が10年計画でしまくとぅばを使える人を88%にする施策を進める中で、各地域で言葉に違いがあり、全県的な取り組みの難しさがあるとした。
 北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原次郎太准教授は、移住者が多数を占める北海道でアイヌ語を普及する難しさを指摘し「行政と一体となっている沖縄は興味深い」と語った。
 文化庁と県、琉大は9月18日の「しまくとぅばの日」に合わせ、県立博物館・美術館講堂で本年度の「危機的な状況にある言語・方言サミット」を開催する。