難聴越え珠算準初段 神原小5年・仲宗根優太君


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珠算準初段に合格した仲宗根優太君=那覇市長田の大城珠算学校

 那覇市立神原小学校5年の仲宗根優太君(10)が、7月に実施された珠算検定試験で準初段に合格した。仲宗根君は周囲の話し声など周りの音がほとんど聞こえない聴覚障がいがあるが、大城珠算学校(那覇市長田)に通い始めて2年4カ月での準初段取得に「うれしい。将来は珠算の先生になりたい」と話している。

 準初段の試験は掛け算、割り算、見取り算、暗算などの計6種目で、合格するには全てで80点以上を取る必要がある。点数により段位が上がり、最高段位の十段は280点以上。1種目300点が満点。
 暗算は文字を目で追うよりも、読み上げられる数字を聞き取って計算する方が早いというが、難聴の優太君は読み上げの声が聞き取れないため、パソコン画面に連続して表示される数字を見て練習してきた。珠算学校で指導を受ける際は、先生の唇を読んで数字や指示を理解し、難易度の高い問題に挑み続けてきた。
 珠算を始めたのは小学3年。3歳下の弟の入校手続きに母親と付き添った際「やりたい」と訴え、弟と一緒に通い始めた。
 大城珠算学校の大城幸治校長は優太君が唇を読めるようにゆっくり話したり、指を使ったりしながら指導。優太君はすぐにそろばんに夢中になり、平日はほぼ毎日通ってめきめきと実力を付けてきた。目標は最高位の十段。夏休みもほぼ毎日教室に通って特訓に励んだ優太君は「そろばんは楽しい。次の試験も頑張りたい」とはにかみながら話した。
 大城校長は「集中力と負けん気がすごい。2年余りで準初段に合格するのはなかなか難しいが、やる気と努力があれば健常者と同等かそれ以上にできることを証明して見せた」と目を細めた。(松堂秀樹)