対応進める県内大学 障害者差別解消法 来年4月施行


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 障がいを理由とした差別を禁止し「合理的配慮」を求める障害者差別解消法が2016年4月に施行され、国立大学は義務、私立大学にも努力義務が課せられる。全国的に対応が進む中、県内大学でも取り組みが活発化している。

 琉球大学は6月に副学長を筆頭にした支援室を立ち上げた。各学部などの教員8人に学生課の5人が加わった13人で運営会議を行い、詳細な方針や方法を定める「ポリシー」を作成中だ。アンケート調査をして支援方法の模索やニーズの掘り起こしもした。学生課の内原厚志さんは「学年が上がってから発達障害に気付くことが多い。そちらも対応したい」と話した。
 名桜大は6月に障がい学生支援運営規定を制定した。これに基づき学長を筆頭にした十数人の委員会を年度内にも開催する。同大ではこれまでにも障がい学生を受け入れ、就職や留学の支援もしてきた。学生部の渡具知伸部長は「規定ができたことで全学で連携し、さらに支援を充実させたい」と意気込んだ。
 沖縄大学は、3人の障がい学生支援コーディネーターを配置し、学生や職員がノートテイクや手話通訳などで支援する体制を整え、全国でも先進的と言われる取り組みを展開する。法施行に合わせてガイドラインを作り、現在の取り組みを明文化する方向だ。
 1、2年生の全員を含め多くが寮生活をする沖縄工業高等専門学校では、2014年度にそれまでの学生相談室を教育福祉推進室に拡充し、生活面を含めた支援を進める。聴覚障がい学生が補聴器を装着していない時間帯の緊急避難放送に備えてサポート学生を配置するほか、図書館など共有スペースでの学習が難しい学生に向けたサポートルームを本年度に整備。ピアサポート会議も開いている。
 県立芸大、県立看護大、沖縄国際大、沖縄キリスト教学院大・短大、沖縄女子短期大、沖縄科学技術大学院大学は同法への対応は特に進めていない。だがこれまでにも障がい学生を受け入れて「個別に対応してきた」とする大学も多い。沖国大は福祉・ボランティア支援室に専門支援員を置き、学生ボランティアによるノートテイクなどをしている。