湧上元雄さん死去 沖縄の祭祀研究で功績 98歳


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 久高島のイザイホーなど祭祀(さいし)を中心にした沖縄の民俗学研究で知られる琉球大学元教授の湧上元雄(わくがみ・もとお)さんが9日午前4時56分、肺炎のため南城市の病院で死去した。98歳。

南城市玉城出身。告別式は11日午後2時から3時まで、浦添市前田2の15の1、サンレーグランドホール中央紫雲閣で。喪主は長男敦夫(あつお)さん。
 湧上氏は、社会運動家で衆議院議員を務めた湧上聾人(ろうじん)の長男。県立二中卒業後、国学院大学国文科で折口信夫の薫陶を受けた。戦後は県内高校教諭を経て琉球大学教授となった。定年退職後、県文化財保護審議会審議委員、玉城村史編集委員長などを務めた。
 2000年に沖縄の民俗学研究の業績が評価され第17回東恩納寛惇賞(琉球新報社主催)を受賞。05年には、文化財保護の功績を評価され文部科学大臣の地域文化功労者表彰を受けた。
 12年に1度開かれるイザイホーを1942年以降4回見た数少ない研究者の一人。奄美から八重山まで各地の祭祀の現地調査を行い「沖縄民俗文化論―祭祀・信仰・御嶽」(2000年)にまとめた。