【島人の目】軍産複合体がつくった国


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 米国の成り立ちは、先住民の大量虐殺から始まる。宗教への迫害を逃れ自由のため新天地を求めてきた新参者は、それを「manifest destiny」=「神から与えられた運命」だと正当化し先住民の土地を略奪した。メキシコの土地も武力で半分近くを奪い、次々に領土を広げた。

 市場拡大のため海を越え他国へ。民主主義、自由解放のためと植民地だった国々の反政府軍につき、勝利後は解放するのでなく米国の植民地にしていった。フィリピンは新しい侵略者と戦う羽目になり、米軍の残酷な攻撃で60万人が殺された。
 その後も米海兵隊はカリブ海の幾つもの国々を侵略、ハイチでは5万人が殺された。第2次世界大戦では「ドイツのファシズムと日本の帝国主義と戦う」との大義名分で戦闘するが、41万人以上の米兵が犠牲になり、日本は民間人、軍人合わせて300万人が死んだ。
 さらに朝鮮戦争で米軍は450万人の朝鮮人を殺し、5万4千人の米兵が犠牲に。最たるものがベトナム戦争。トンキン湾事件を捏造(ねつぞう)し、報復だとして侵攻した。10年の泥沼の戦争でベトナム側300万人、米側6万人が死んだ。
 パナマに軍事介入し数千人の民間人を死亡させ、湾岸戦争では15万人のイラク人が犠牲になった。その後も「イラクが大量破壊兵器を持っている」とでっち上げ攻撃し、イラクの民間人の死亡者数は65万人に達し、4千人の米兵が戦死した。
 世界各地で戦争を仕掛けてきた米国。軍事費は世界一の6100億ドル。多くの米企業が国防総省の後ろ盾を得て、敵味方に武器を売り、戦争から利益を得ている。いわゆる軍産複合体がこの国をつくっている。
 戦争中毒の米国に加担して集団的自衛権を行使し、共に戦争しようとする安倍政権の気が知れない。真っ先に攻撃されるのは、日本全国の74%の米軍専用基地を持つ沖縄になるだろう。
 「人殺しはもういい加減にして!」。戦争の恩恵に預かるもうけ主義一辺倒の戦争屋の面々に、今こそ「命どぅ宝」を発信していけるのはわが古里・沖縄ではないだろうか。
(鈴木多美子、バージニア通信員)