海底光ケーブル来春始動 一括交付金、県に決定通知


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 一括交付金の交付決定が遅れ、整備が止まっていた県の海底光ケーブル事業が動きだすことになった。18日までに内閣府からの交付決定通知が県に届いた。県は2016年4月からの運用開始を目指す。県内のIT企業は「アジア展開を考える企業は沖縄が海底光ケーブル事業を始めるのを待っていた」と話し、早期の供用開始を望んでいる。

 今回計画されている海底光ケーブルの通信容量は全体で毎秒600ギガビットと、増え続けるインターネットの通信量を支える決め手になると期待が高まっている。
 県の計画は、すでに敷設されている首都圏―香港―シンガポールの海底光ケーブルを沖縄に陸揚げし、首都圏―沖縄―アジアの今後20年間の長期使用権を買い取る。利用者に低価格で高速大容量通信サービスを提供することで情報通信業を沖縄に誘致するスマートハブ構想を描いている。事業費用は約66億円。
 アジアへの回線は、沖縄―香港を結ぶグローバル・インターネット・エクスチェンジ(GIX)が既に整備され、運用されてきた。県の補助金を活用したGIXの通信容量は、現在、毎秒155メガビットで運用されている。
 GIXを運営する沖縄クロス・ヘッドの渡嘉敷唯昭社長は「海底光ケーブルが整備されれば既存の回線よりも大容量の通信が可能になる。沖縄がアジアの中継地点となれば、県外だけでなく、アジアの企業が日本向けビジネスをするために沖縄に拠点を置く可能性もある」と語る。
 兼松エレクトロニクスの鏡淳芳氏は「この事業の将来性を見越して沖縄に進出してきたので期待している」と話す。(阪口彩子)

<用語>海底光ケーブル
 海底に敷設された通信用の伝送路のこと。大容量回線を安く確保でき、システムを拡張しやすい仕組みで日本の国際通信の9割を支えている。