【チャイナ網路】お化け番組の虚実


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 今年1月にスタートしたオーディション番組「超級星光大道」が爆発的な人気を博している。金曜夜9時半という時間帯にもかかわらず、8時のゴールデンタイムをしのぐ視聴率は歴史的新記録。放送日にはレストランの客が減るほどの“お化け番組”ぶりに社会現象と評する見方もある。
 番組の形態自体は珍しくもないが、これまでにない豪華なセットや公正でソフトな審査スタイル。何より出場者の歌唱力とライバル同士がお互いを思いやる純粋で心優しい番組の雰囲気に人気が集まる。
 中でもトップを独走してきたのが楊宗緯(29)だ。正直十人並み以下のルックスだが、甘い声と歌唱力では群を抜いている。が、この6月、彼に年齢詐称や不名誉な退学記録などが浮かび上がり、出場を辞退するという事態が起こった。
 TVに絶望していた中産階級を呼び戻したともいわれるこの番組。コネもなく世故にもたけぬ凡人でも、実力と誠実ささえあれば成功できるという夢物語に視聴者は酔ってきた。偶像の失墜に対する悲鳴にも近い擁護の声の中、スキャンダルを振り切るように番組は走り続けている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)