非常に強い台風21号は28日未明から夜遅くにかけて八重山地方を暴風域に巻き込んで通過した。午後3時41分、与那国町祖納で観測史上国内で4番目、県内で2番目の強さとなる最大瞬間風速81・1メートルを観測。
県内では85・3メートルの最大瞬間風速を観測した1966年の第2宮古島台風以来、49年ぶりに80メートル超を観測した。八重山署によると、与那国町では民家のトタン屋根が飛んだり、電柱が倒壊したりするなどの被害が出たほか、約250人が避難していた久部良中学校の体育館の窓ガラスが割れる被害もあったが、けが人は確認されていない。
台風の影響で、一時は石垣市で3500戸、竹富町で1500戸、与那国町で千戸の最大約5900戸が停電した。石垣市と竹富町では復旧作業が続けられているが、与那国町は全世帯と町役場、宿泊施設などが停電しており、28日夜の時点で復旧の見通しは立っていない。沖縄電力は「29日以降に直ちに復旧作業を開始したい」としている。
台風の影響で28日、空と海の便に欠航が相次いだ。海の便は宮古・八重山地区の全便を中心に欠航。29日は海上の様子を見て運航を決める。空の便は石垣と宮古を結ぶ便はほぼ全便が欠航した。29日は通常運航の予定。
与那国町祖納で81・1メートル、与那国空港で63・8メートル(28日午後3時32分)、竹富町波照間で57・5メートル(同午前11時55分)を観測した。
与那国島で28日午後9時までの24時間降雨量が197・5ミリに達した。今後も1日に100ミリの雨が降ることが予想されており、沖縄気象台は土砂災害や浸水、河川の増水に注意を呼び掛けている。
台風は28日午後9時現在台湾にあり、時速30キロで西へ進んでいる。中心気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速40メートル、最大瞬間風速55メートル。中心から半径150キロ以内は風速25メートル以上の暴風域。