宮古島住民、航空券入手困難に 那覇-宮古線好調


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 1月下旬に宮古島と伊良部島を結ぶ「伊良部大橋」が開通して以降、観光客の増加などから那覇-宮古線を運航する航空3社の利用率が好調に推移している。その一方で、地元住民が航空券を購入できない状態が相次ぎ、困惑も広がっている。

宮古島市民にとって那覇―宮古線は生活路線だが、沖縄本島で用事がある際にも席が取れないこともある。宮古島市観光商工局は10月にも航空会社に対して増便などの対応を要請する考えだ。
 ANAセールス沖縄支店によると、同社が企画・実施する旅行「ANAスカイホリデー」の国内各地発宮古方面の上期(4~9月)の実績は前年同期と比べ、約3割上回る見込みだ。
 那覇―宮古を運航する日本トランスオーシャン航空(JTA)と全日本空輸(ANA)の利用率を見ると、両社はともに3月以降、8割を超える水準で推移し、夏休みの7、8月は9割を突破した。琉球エアーコミューター(RAC)も堅調に伸びた。
 9月19~23日までの大型連休期間、ANAの同路線は平均98%で推移し、毎日ほぼ満席だった。高需要に対応するため、JTAとANAはそれぞれ期間限定で増便するほか、臨時便の運航なども実施した。
 宮古島には2014年度、過去最高の約43万人が来島した。ことしは3月末にスカイマークが撤退したこともあり、影響が懸念されたが、4~6月は前年同期比で約5割増となるなど、前年を上回る好調ぶりを見せる。
 観光客の利用が増える一方、宮古島市民が利用できる座席数は相対的に減っている。
 宮古島市の50代の男性=自営業=は9月中旬、沖縄本島の身内に不幸があり、急きょ航空便の手配に追われた。妻と息子は、キャンセル待ちなどの末にどうにか乗れたが、男性は搭乗できず、通夜や告別式への出席を断念した。また、妻と息子は帰りの便がなかなか取れず、初七日を終えてから宮古島に戻ったという。
 男性は「沖縄本島へは航空便のほかに移動手段がない。観光客が多いのはいいことだが、生活路線でもある。親の死に目に会えないことも考えられる。当日でも乗れるような余裕も必要じゃないか」と話した。
 宮古島市観光商工局の下地信男局長は「那覇への航空路線はほぼ満席状態で、市民に影響が出ているのは認識している」とした上で「今後も航空需要は増加が見込まれ、利用者の利便性を高めるため増便や機材の大型化などの対応は喫緊の課題だ」とし、10月中にも航空会社に対し、市として要請する考えを示した。(呉俐君、知念征尚)