【交差点】サクランボウの季節


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 今年で2回目を迎える「中国大連サクランボ祭り(中国大連櫻桃節)」では、栽培農家で食事をすることもできる。参加者はサクランボウを満喫した後、農村料理を味わう。
 サクランボウが実る季節には、日本からのセンチメンタルジャーニーでやって来た友人たちの夕食会に同席させていただく。
 彼らは旅の最後の夜に大連の海産物料理を味わいながら話を弾ませる。その中には「まだお土産をそろえてないけれど…」とか「明日の自由時間どうする」の話も交じる。
 食事会も終盤に近づくころ、私は持って来たサクランボウを服務員に渡す。服務員は大皿に盛って供してくれる。最初に手を伸ばして口に入れた人が「あっ、おいしい」と言う。
 ターンテーブルが2、3周して大皿は空になる。彼らの一人から「明日の自由時間に町でサクランボウを買って帰ることにしよう」と提案があり、「いいね、いいね」と賛同する人がいる。「ホテルの近くで売っていますかね」と聞かれ、限られた自由時間内に買い物を済ませて、ホテルに戻れる近くの大型食料品店を紹介する。
 長年大連に住んでいても、大連への愛着はここを故郷にする彼らに遠く及ばないが、身近な情報についてはやはり現地に住んでいる強みがある。
 帰国後、届いたメールには、土産をそろえて帰国の途に就かれた事が書かれてある。私は「大連のさくらんぼう狩りも楽しいですよ」と書いて返信した。
 (池宮城克子・雑誌編集者、ウチナー民間大使)