【チャイナ網路】馬英九の選択


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 国民党の総統選候補・馬英九氏(56)は6月23日、副総統候補に蕭万長(ショウ・バンチョウ)氏(68)を指名した。経済政策にたけ、アジア通貨危機の最中に就任した行政院長(首相)の任を無事に果たした。目新しくもセンセーショナルでもない人選だが、その実力と穏健な施政方針に期待は高まっている。
 今回の総統選の大きな争点は、経済とそれに連動する両岸問題だ。先ごろ馬氏が打ち出した1年以内の直航実現。蕭氏の台湾全体を自由貿易区とする構想は、近年増え続けている中国との直航実現支持者にはうれしい公約だ。
 一方、民進党側は目新しい政策も打ち出せぬまま、馬氏の香港出身の外省人という出自問題を蒸し返すばかり。馬氏の両岸交渉に積極的な姿勢をやり玉に、「外省人=よそ者=売国奴」とたたくのだが、この論法にも新鮮味はない。それでもわざわざ蒸し返すのは、民進党側が馬・蕭ペアに脅威を覚えた表れだという読み方がある。世論調査では副総統候補選出でわずかばかりリードを広げた馬英九氏。まずまずの滑り出しだが本番は来年3月だ。まだ先は読めない。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)