【交差点】お教室デビュー


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 日本でも同じだと思うが、シンガポールでも3歳児から習い事のクラスが始まる。
 息子のKOAも3歳になり、私は張り切って、音楽やコンピューター教室探しに精を出している。驚かされるのは他の親たちも私以上の「親ばか」であることである。他の親の真剣さを目の当たりにすると「負けられない」という感情が煮えたぎってくるから不思議だ。

 いったい誰のために教室探しをしているのだろうと考えながらも、真剣になる。シンガポールで1番有名な教室が多く入居しているモールに体験入学したが、英語、中国語、楽器、コンピューター、ダンスはもちろんのこと、演技、科学、フェンシングなど、かなりハイカラな習い事まであるのには驚く。
 教室もまるで高級マンションか、ブランド物のブティックのようなところもあり、圧倒される。KOAより、私の方が興味を持ってしまい、家族を引き連れていろいろな教室を見学した。
 子供のために、あれもこれもと考えるが、結局は「自分自身が幼いころに成し遂げられなかったものを、後悔させないように」との思いが基本にあり、親の視点で物事を考えてしまう。
 押し付けにならないようにと思うが、彼の意見もはっきりは分からない。今後は、いろいろな教室で遊ばせてやり、彼の行動、表情、目の輝きなどを、よく感じるように心がけたい。
 彼が本能的に楽しむ事をさせてやり、彼の将来に影響を与えようなどと大上段に構えず、私自身がリラックスするのが彼のためになるのだろう。
 教室で隣にいた子供がKOAより早く問題を解いた時の、その親の得意げな顔を見て「この野郎」と思っていては話にならないのである。お父さんも修業が必要である。
(遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)