【チャイナ網路】メディカル・ツーリズム


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 張俊雄行政院長(首相)は先ごろ、「医療サービス国際化旗艦計画」を発表した。外国人を対象とした政府主導のメディカル・ツーリズム推進を宣言したもので、7月中にも窓口を立ち上げ、医療ビザ、海外の保険会社との連携など制度的問題をクリアしていく。目標は3年間で10万人だ。
 アジアでメディカル・ツーリズムが脚光をあびはじめたのは、1997年の通貨危機以降。今やシンガポールが年間50万人を見込み、タイでは年間40万人の外国人患者を受け入れる巨大病院がフル稼働する活況だ。今年になって始動する台湾の後れは大きい。
 一流ホテル並みの施設とサービスに高度な医療技術。しかも費用は欧米の数分の1というのが、アジア医療観光の売りだ。台湾も欧米の2割から4割と、価格ではシンガポールに負けていない。得意分野の生体肝移植と口唇口蓋(こうがい)裂矯正、心血管外科、関節置換と不妊治療で売り出す方針だ。
 ターゲットは中国の富裕層だが、台湾の受け入れ規制は厳しく、過去3年の受け入れ数は6人にとどまっている。医療関係者の期待は高まる一方、政治的なハードルは依然高い。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)