【チャイナ網路】セレブな野菜


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 台湾最大の企業グループ「台塑」(台湾プラスティック)の創業者・王永慶氏(90)は、台湾で“経営の神様”とも称されるスーパーリッチ。堅実な暮らしぶりと健康志向の高さでも知られている。本社ビル屋上に土を入れ、自ら無農薬野菜や果樹を栽培するほどの凝りようだ。
 石油化学、バイオテクノロジー、医療と、経営を多角化してきた同社が、近年力を入れているのが自社農場で生産する有機野菜「台塑有機蔬菜」だ。有機野菜市場への大手参入が続く中「あの王永慶が食べている」という信頼感で急成長。発売わずか1年半で、全国に200拠点を持つブランドとなった。
 肥料は、自社工場と近隣から回収した生ごみを高温処理したもの。ごみ問題と50%のコストカットを一挙に実現している。王氏の屋上菜園での効果も上々。無料配布している自社農場近隣農家の評判もいい。販売は月単位の宅配だけの上、送料を入れれば月額約1万円と通常の3倍近い高値だ。が、安全性への意識はますます高く、かつて“セレブな野菜”と言われた有機野菜も、20代の購買者を伸ばしている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)