【チャイナ網路】ケーブルカー騒動


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 台北市のお茶の産地・猫空で今月4日、ケーブルカーが運行を始めた。標高差275メートルの山肌を「7」の字にカーブしながら昇る約4キロのスリリングなコース。夜10時までの営業で台北の夜景も一望できると、1日平均1万5千人の観光客が殺到する人気だ。
 もっとも、3カ月遅れで開通した初日から市長を10数分閉じ込めるという事故が発生。その後も故障や落雷でたびたび運休するご難続きだ。悪いことに今年台北は38度を超す記録的な猛暑。冷房のないカゴの中に2時間近く客を閉じ込める事故が起こってからは、市も事態を重く見ている。
 今年開通した台湾新幹線も安全性が疑問視されたが、起こったのは発券ミスと到着遅延程度。今のところ大きな事故もなく運行を続けており、利用客も安定してきた。いまだ故障の原因さえつかめないケーブルカーの状況は深刻だ。
 「新幹線の時は小うるさい日本人がいたから事故は最小限に抑えられた。ケーブルカーは仏製。台湾とフランスのテーゲーな民族性が相乗効果を起こし、事故は起こるべくして起きた」と、新聞にはそんな手厳しい声も寄せられている。
 (渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)