シンガポールはユニークなバイリンガル政策で知られている。小学校から授業は基本的に英語。同時に華語(北京語)、マレー語、タミル語いずれかの“母語”の習得が義務付けられる。小学4年で英語、母語、数学のテストが課せられ、その成績で進路が振り分けられるシビアな制度だ。
英語が第1言語であることは、空港に降り立った時から痛感させられる。
が、人口の約75%は中国系。中国語のTVチャンネルも新聞もある。店員やタクシー運転手が「うまくはない」と謙遜(けんそん)しつつ中国語で相手をしてくれる程度には普及している様子だ。
北京語を公用語に選んだことは、実に絶妙な選択だった。方言を排することで、方言でつながる中国系コネクションを断ち切り、法治国家としてのシステムを実現。英語の経済的価値を見込んで中国語離れも起こり、“中国人”は“シンガポール人”というコスモポリタンになっていった。
近年経済発展を続ける中国との関係強化のため、今再び注目される北京語の存在。同国首相も今年の独立記念日の演説で、英中バイリンガル・エリートの継続的養成を強調している。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)
【チャイナ網路】コスモポリスの中国語事情
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琉球新報社
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