【チャイナ網路】新幹線の車窓から


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 「そのうち大きな事故が起こるかしれないから」と止められていた台湾新幹線に乗ってみた。今年1月の開通からトラブル続き。心配するのも道理だが、危ういところで大事故は免れている。そろそろ乗りごろだと、帰途、新幹線で空港へ向かうことにした。
 乗車の前日、予約窓口に行ってみると、意外に丁寧な対応ぶりだ。座席の希望まで聞いてくれる。なかなか幸先はいい。が、チケットを見ると座席は「1号車1A」。「他に乗客はいないのか?」と不安が胸をよぎる。
 地下のホームから、白地にオレンジの700系に乗車する。幸い座席は6割程度の埋まり具合だ。新幹線と変わらぬ内装の車内を行きかう乗務員のおしゃれな制服が目を引く。20分後、定刻に到着した桃園駅の駅舎は、未来都市を思わせる美しさだった。
 台北から空港まで1時間と、所要時間は空港リムジンとほぼ同じ。シャトルバスを含めて630円の料金は決して高くない。ただ、荷物をかかえての乗り降りが面倒だ。台湾で味わう手軽な新幹線の旅。残念ながら話のタネにとどめることになりそうだ。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)