【チャイナ網路】新光天地の教訓


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 今年4月北京にオープンした中国最大のデパート「新光天地」で8月、経営権をめぐるクーデターが勃発(ぼっぱつ)した。中国側が要請したガードマン200人余りがオフィスを制圧。公安が台湾側経営者を拘束し、強制的に業務を引き継がせるという事態に至った。
 同社は台湾流通業界最大手の老舗・新光三越と元国営で全国にスーパーやショッピングモールを展開する巨大企業・北京華聯グループの合弁企業だ。「台湾側の収賄が原因」と主張する中国側は元軍人。この国では法より“力”が優先することを見せつける。
 台湾経済界にも激震が走るが、対応は意外にも冷静だった。政治的にあいまいな関係の地に投資すれば、資金どころか生命の保障も十分ないのは覚悟の上。「そもそも合弁が鬼門」「単独出資が鉄則」と経験者は語る。
 先日中国政府の介入で一応の和解に至ったが、対外的なイメージダウンにつながる大スキャンダルゆえの政治的判断。これが例外的であることは、現在中国に収監されている6000人超の台湾人経営者が物語っている。
 (渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学准教授)