【交差点】ミャンマーの民主化


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 日本人ジャーナリスト、僧侶、一般市民が犠牲になったミャンマーの事件は衝撃的であった。シンガポールと同じ、アセアンの国で起こった事であることが信じられない。
 経済格差、民族、社会制度の違う東南アジア10カ国の国が、一つの共同体としてまとまり活動することには、無理があるとミャンマーが加盟したころから言われていた。
 確かに、経済成長を遂げている他のアセアン諸国と比較するとミャンマーの状態は違いすぎている。シンガポールからはタイと同じくらいの距離だが、タイは年に何回も行く機会があるのに、いまだにミャンマーには行ったことがない。
 タイとミャンマーは隣国であり規模や人口が同じくらいなので、昔からライバル関係にあった国。しかし、テレビや雑誌からの情報から見ると国民生活や国力というものは、今や格段の差がついてしまっているのではないか。
 ベトナムや中国共産党が市場開放で最悪の経済状態から抜け出し、国民が元気を取り戻している状況をみていると、ミャンマーの軍事政権も同じように試みる勇気があればいいのにと思う。
 今の時代にヤンゴンから王の住む土地という意味の「ネピドー」に首都を移動し、鎖国度を高め、権力の維持に精を出す方々の考えが分からない。
 歴史的にミャンマーは日本とは相性がいい国。私が何度も訪れることができる国となってもらいたい。最近、弊社の店舗の売り子の求人にミャンマー人の申し込みが増えている。経歴は大卒で商社や銀行などに勤めた人も多い。そこまでして国を出たいのかと驚かされる。ミャンマー一般人の不満はそこまで来ている証拠であろう。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)