【交差点】エアバスA380


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 欧州航空大手エアバス社は10月15日、2階建て超大型旅客機A380の第1号機をシンガポール航空に引き渡した。世界中が注目する同機は10月25日にシンガポールからシドニーへと初フライトを行う。
 エアバス本社のあるフランスのトゥールーズで開かれた式典は、シンガポールに生中継されるほどの一大イベントとなった。引き渡しは電気系統の問題などから予定より1年半遅れたため、シンガポール航空は受け入れターミナルとなる新チャンギ第3ターミナルとの調整等で大忙し。だが、待ちに待った恋人A380を受け入れた同航空最高経営責任者(CEO)の笑顔が印象的だった。
 航空会社部門、空港部門の世界ランキングで常に上位にあるシンガポール航空とチャンギ空港はシンガポールの世界の誇りだが、近年では世界競争で絶対的優位性が揺らいでいた。
 ここで大々的に最新大型機を世界に先駆けて導入し、さらにハイテク、豪華が売りの第3ターミナルを立ち上げる。沖縄より小さなこの国で世界有数のエアラインと空港を有すること自体が信じられないことだが、世界に君臨する今に満足せず、常に危機感を持ち、次々に新戦略を打ち出すところはさすがである。
 弊社は第2ターミナル加え、第3ターミナルでも出店を目指したが、入札には世界中から有名ブランドが参加し、入札額は天井知らず。私は入札額は今がピークと見て無理な入札を避け、結果として出店を逃した。残念だったが入札チャンスは何度でもやって来る。A380初飛行との同時出店は逃したが、第3ターミナル出店は必ず行う予定である。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)