【交差点】中国のエイサー太鼓


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 友人が日本語学科の講師をしている大連大学の中日韓衣食住文化交流会で、沖縄エイサー太鼓を紹介することになった。
 交流会当日は上海のエイサー太鼓グループの2人が来連して披露するので、私の役割はビデオで「久高節」の振り付けを覚え、バックダンサーとして学生たちが共演できるよう教え込むことであった。
 3日間、昼休憩の1時間を利用して、学生たちに教え込んだ。大学の文化楼のホールで、私は毎回練習に入る前に沖縄とエイサーについて紹介した。そして参加者全員が、小さな段ボール箱を肩から左脇に提げ、割りばしをバチにして練習した。
 ホールを往来する学生たちも立ち止まり、あるいは振り返り、沖縄メロディーと、乱れがちな段ボールの太鼓の音に興味を示していた。
 本番用の衣装は練習の帰り道に市場の洋服売り場の寸法直しの人に、付きっきりで縫ってもらい、太鼓も探した。当日、3人の学生たちが一通り覚えた「久高節」を、前日に出来上がったばかりの衣装をまとい、上海エイサー太鼓グループのリードで共演して、拍手喝采を受けた。
 3日間の練習には、毎回クラス単位で参加していたので、約60人がエイサーの振り付けを経験したことになる。エイサーを目の当たりにした中日韓の学生と大学関係者は200人ほどであった。
 日本語学科1年生の教科書の中には「自然の美しい沖縄」の紹介がある。1週間足らずの出来事ではあったが、中国の大学生に沖縄は自然が美しく、民間芸能の豊かなところと映ったことだろう。
 (池宮城克子、大連在住 沖縄県新民間大使、元大連外国語学院講師)