【交差点】中国ビジネスへの窓口


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 中華系が70%以上を占めるシンガポールでは、中国に政府運営の大規模な工業団地を設立するなど、中国ビジネスへの窓口としての地位を築こうという動きが活発だ。
 巨大市場ながら、制度が複雑な国への投資は大きな危険が伴う。リスクを考えると独自で進出したり、民間企業が設立した工業団地を使うよりも、政府という後ろ盾を得て安全なビジネスが展開できる政府運営団地へ進出する方がいい。シンガポール投資会社を通して中国に投資している企業は結構多い。
 政府系工業団地に進出している友人も「複雑で不透明な投資手続きに頭を痛めず、ビジネスに集中できるメリットは非常に大きい。華人同士で取引をさせた方が下手に日本人が入るよりいい」と力説していた。早くから中国ビジネスに力を入れていたシンガポールであるが、返還後急速に中国化するライバル香港を尻目に、中国への窓口としての機能を強化している。
 さらに最近は、中国とのパイプを広げようと諸活動に力を入れている。大型ショッピングモール「ラッフルズシティー」で、中国の若手トップデザイナーらを招待した「Shanghai Vogue」が盛大に催されたように、政府や政府系大手企業が中心となり、ビジネスだけでなく、文化面でも中国とのパイプを築き始めている。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)