「中国の数都市を回り、夕食までには台北の自宅にもどる」
そんな夢の実現に向け、交通部(国土交通省)はビジネス・ジェットと自家用機解禁の準備を進めている。
台北市内にある松山空港も、年内にはビジネス・ジェットの運航拠点に生まれ変わる。
国内便専用の松山空港が、1時間に40便の過密状態だったのも、今は昔。高速道路の整備が進んだ今では、半分に激減。今年10月の台湾新幹線開通後は、さらなる減便を余儀なくされる。解禁は、航空業界からの強い要望でもあった。
長栄グループの張栄発総裁や中信グループの辜濂松会長、かつての国民党“大番頭”劉泰英氏ら、自家用ジェットの所有者はすでに何人かいる。が、機体の登録先はアメリカ。格納庫はフィリピンのスービック空港。「気軽にいつでも」というワケにはいかない。
ただ、米籍であるからこそ、世界を自由に飛び回れるというのも事実だ。なにしろ台湾のスケールに、ビジネス・ジェットの必要はない。
台湾の大企業家にとって、金額は問題ではないが、誰もが利用する時代が来るには、大陸との直航解禁が不可欠だ。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)
【チャイナ網路】ビジネスジェットの時代
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琉球新報社