【交差点】東南アジアのエコ事情


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 アル・ゴア元米副大統領を中心に世界中の歌手が地球温暖化防止のために行った世界規模でのコンサート「ライブアース」は、シンガポールでも大々的に中継され、東南アジアでも省エネが叫ばれるようになった。
 シンガポールや他の東南アジア諸国は年中、常夏で、冷房をぜいたくに使っており、ジャケットが必要なくらい。時には風邪までひいてしまう。
 また、ごみの分別等も徹底されていない。シンガポールでようやく、スーパーでレジ袋を使用しないと10円割り引くサービスが始まったくらいだ。
 地球気候は確実におかしくなっているのは誰の目にも明らかで、シンガポールでも省エネを訴える人々は増えている。
 ただ、シンガポールのような欧米諸国並みの先進国ではない他の東南アジアの国々では、やっと経済発展し冷房などの電化製品が金持ちの所有物ではなく、普通に消費されるようになったばかり。そんな状況で使用制限を訴えるのは少しかわいそうな気もする。まあ、東南アジアで電化製品や環境に問題のある中古機械等の売り込みにしのぎを削るのは、日本を中心とした先進国企業群である。そこに矛盾を感じるのは私だけではないだろう。
 現状を作ってしまったのは日本を含めた欧米諸国で、それに追随し大量生産大量消費を誘導した人々である。また、その恩恵を受けたすべての人々、私たち自身である。単に省エネを叫ぶのではなく、こういう背景を認識しながら、問題に取り組むことが大事だ。問題は1人、1国では解決できない。地球単位で取り組まなければならないのだから。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)