【交差点】食の安全


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 香港は沖縄の半分の面積に5倍の人口を抱える。農地も非常に少なく食品も輸入に頼る。やはり隣の中国本土からの輸入が圧倒的に多く地元のスーパーや街市と呼ばれる市場には中国産の野菜や魚、肉などが豊富に並び値段も安い。
 一方で高くても品質を売り物にする日系スーパーや高級店も共存し選択肢を広げている。
 最近の日本食品の不祥事も連日報道されているが、香港では熱心な市民グループが実際に購入した野菜を検査し、問題を公表するという報道が以前からあり、どこで購入したのかたちどころに知るところとなる。
 消費者が身を守る手っ取り早い方法といえば安いものに手を出さないこと。多少高くても問題を起こしていない小売店や産地を信じて買う。私も「安かろう悪かろう」と考えるのが習慣づいてきた。
 日本にとって香港はアメリカと肩を並べる農産物輸出先。日本料理店も大小600店を超え、多くの香港人が日系スーパーを選び日本食品の安全を買う。中でも食に観光に香港人の最も好きな北海道。行くと必ず買うと言われた土産品の不祥事はその分大きく報じられた。
 多くの企業が香港を足がかりに中国本土へ進出していく。定期直行便が復活し観光に物産にまさにこれから売り込もうとする沖縄にとって、今はとても大切な時期である。
 (宮城石(つよし)・県産業振興公社香港事務所長)