【交差点】タイでも沖縄食に商機


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 最近、近所の日系スーパーに行く度に、あぜんとさせられていること。それは、日本産フルーツの異常な売れようだ。買っているのはお金持ちのタイ人。近ごろ、経済ニュースで耳にする「アジアの富裕層は増加傾向で…」という文言の、まさにその「富裕層」に当たる人々だ。
 驚くのは、その買いっぷり。例えば1個140バーツ(1バーツ=3・4円)の青森りんごは、一度に10数個、ガバッとカートへ。愛知産で1個約800バーツの巨大なナシは、「りんごとセットでフルーツ盛り。3000バーツ分ね」。さらに、6粒550バーツの栃木のいちごは、入荷前から「10パック取っといて」などの注文が。在住日本人の「選びに選んでやっと1個」という買い方がセコく見えてしまう。
 バンコクでは最近、日本各地の自治体が主催する「特産品フェア」が頻繁に開かれ、果物はそのたびに完売。果物にとどまらず、うどんやそば、めんたいこやお菓子、1キロで850バーツの高級日本米まで、タイ人に大人気だ。
 「日本食は、ヘルシーでおしゃれ」「高くてもアロイ!(おいしい)。ディーマーク!(とてもいい)」と、こんなにも評価の高い食品を生産・輸出しているのが日本だ。
 なのに今、安全性に問題のある輸入食品で社会が揺るがされている。少し複雑だ。
 ところで先日、くだんのスーパーで、こんな光景も目にした。「これは何?納豆じゃないし。おいしいのかしら?」とタイ人女性。見るとそれは、沖縄県産品を使った味付けモズク。おぉ、沖縄にも、商機ありか!?
 (古石千八重、バンコク在住)