【交差点】バンコクの水族館


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 沖縄から誰か来タイしたら、ぜひ案内したい場所がある。2005年にオープンしたバンコクの水族館「サイアム・オーシャン・ワールド」だ。
 とにかく、びっくり満載! 世界的に有名な「美ら海水族館」を擁す沖縄の人には、その魅力を12分に堪能してもらえると思う。
 まず驚くのは、その立地。「高級デパートの地下」にある。中に入ると、高さ7メートルの巨大水槽や360度のパノラマなど「大きい!」のオンパレード。「ん? ここは本当にデパ地下?」その規模は東南アジアで最大、世界では2番目だそうだ。
 一番の魅力は「演出」。例えば、大水槽の水上には「グラスボート」が遊覧、ライフジャケットの見学者が感嘆の声をあげている。またサメのいる場所をインストラクターとダイビングしたり、子どもの学習を兼ねた「誕生パーティー」を開くこともできる。商業目的で作った水族館ならではの演出だという。
 「あのデパートと水族館は『バンコクの誇り』って言われているの」と、タイ人の“ママ友”は語る。そこで私は、言おうかどうか、いつも迷うことがある。「あの水族館の工事、沖縄の人が指揮を執ったんだよ」。その人は石垣伸さん。日系の大手建設会社に勤める沖縄出身の敏腕プロジェクトマネジャーだ。
 水族館建設では、13カ月の工期の間、世界中から資材を集め、11の国から集まってきた技術者を統括、言葉や商習慣の違いを乗り越え完成に導いた。「バンコクの誇り」は「沖縄の誇り」でもある、といえるかも。来タイの機会には、ぜひ足を運んでみてほしい。
(古石千八恵・バンコク在住)