【島人の目】又吉喜美枝/日本料理店


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 パリにはたくさんの日本料理の店がある。本格的な日本人の料理人がいて、ちゃんとした日本食が食べられる所もあるが、圧倒的に多いのが焼き鳥や簡単なにぎりずしの店。そこに働く日本人は少なく、だいたいアジア系フランス人だ。
 さて、日本料理店に「おきなわ」という店がある。「わ」が限りなく「ゆ」に近い書かれ方をしている。沖縄料理を食べさせてくれるかというと、そうではなく焼き鳥系の店である。
 15区という韓国、レバノン料理の店が多い所で、「TOKAIDO」と書かれた看板を見た。やはり焼き鳥系だ。私はすぐに「高井戸」ではないかと思ったが、何度みても「T」の下は「O」である。「高井戸」だと、すごく東京をよく知っているなあと感心してしまうが、ある日、その看板を見てはっと気づいた。
 「TOKAIDO」→「とかいど」→「とうかいどう」→「東海道」ではないか。
 13区の中華レストランが幅を利かせる所には「FUJIRAMA」というのもある。これは「フジヤマ」のことだと思う。店をオープンさせる時に、どうしてしかるべき人に見せて確認しないのだろう。感覚的に「いい」と思っているのだろうか? 私はかつて新聞社で、文章をチェックする部署にいたこともあるので、固有名詞が違っていたりすると神経質になる。
 最近気になるのを一つ見た。「KYOTONI」。すぐ「京都煮」という字が浮かんだが、誰か、ほかに思いつきますか?
 (フランス通信員)