【チャイナ網路】さすらいの社長たち


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 「業績が思わしくないね」。そう指摘されたが最後、社長は即日会社を出ていかなければならないのだという。中国大陸に夢を求め、敗れた台湾人“雇われ社長”の現状を経済誌「商業周刊」が追っている。
 マッキンゼー社によると、急激な経済成長が進む中国は、国際化し数千人規模にも膨れ上がった組織の管理者に、絶望的な不足を来している。主を待つ“社長のいす”は実に75000。全世界から上級管理職のスカウトが進む。
 国際経験に富む台湾人は、他国に比べ、中国式の企業文化になじみやすく、中国語を話すという点で有利ではある。事実、最大規模の保険会社や大手不動産会社の社長にも、台湾人の例が少なくない。が、社長とはいえ、冷酷なまでの成果主義。“使い捨て”が原則だ。平均就任期間5年と、現実は厳しい。
 「商業周刊」によると、過去5年間に解雇または降格された台湾人社長は、全体の38%。中国企業は社長たちからノウハウを吸収し、急ピッチで人材育成を進めている。台湾人社長が大陸に夢をつなぐことができるのも、あと5年だともいわれている。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)