【交差点】魅力ある中国市場


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 香港の九龍から電車で約40分北上すると中国本土、深センだ。深川はかつて、入り口で擦ったマッチの火が出口までもったと言われるほど小さな漁村だった。それが1979年に経済特区に指定されてからは急激な経済発展を遂げ、今に至っては街並みも香港と変わらないほどだ。
 この深川でこのほど中国消費商品国際博覧会が開かれ、沖縄からモズクや水産加工品などが展示・紹介された。出展を企画したのは沖縄在住の楊京華さん。楊さんは沖縄の商品を中国市場に向けて博覧会への出展や、深川に設立した貿易会社を拠点に積極的な営業を展開している。そのおかげで、日系大型店で沖縄の商品が販売されるなど、県産品の販路が広がりつつある。
 日系大型店の開店当初、買い物客より見物客が多かった。今では買い物客でにぎわっており、その数は着実に増えている。購買層は高学歴で高収入の人が多く、よりよい商品を求めて来店するという。
 現在、魅力ある中国市場への参入を目指す企業が増えているが、輸入手続きなどがわずらわしいと参入をためらう企業もあるという。楊さんは商品ごとに輸入許可を得るわずらわしい手続きで地道な営業を重ね、販路を広げている。中国市場への参入はリスクを伴うが、「そこにビジネスチャンスがある」と楊さん。その取り組みは、中国市場参入のお手本になる。
(志村正人・県産業振興公社香港事務所長)