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沖国大創立貢献した大浜信泉氏の資料発見 音声と写真新たに 故郷・石垣市に寄贈


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新たに見つかった大学ビル竣工式典時の大浜信泉氏の写真=1973年9月22日撮影(沖縄国際大提供)

 【石垣】沖縄国際大学(前津榮健学長)は3日、早稲田大学総長などを務めた石垣市出身の大浜信泉(のぶもと)氏(故人)の音声データと写真計8点を市教育委員会に寄贈した。大浜氏は沖国大の創立に貢献したことで知られる。資料は学内で見つかったもので、二つの音声データと写真1枚は新発見だ。

 市教委に寄贈されたのは、1973年の沖国大ビル竣工(しゅんこう)式と74年の大学竣工式での大浜氏のあいさつの録音と、両式典での大浜氏を撮影した写真だ。また、学内に設置している大浜氏の胸像の写真も寄贈した。今年で大学創立50周年となるのに合わせて学内で大浜氏の資料を探していたところ、新資料が見つかったという。

 沖国大によると、沖縄の日本復帰前の70年、当時の沖縄大と国際大は、復帰後に適用される大学設置基準を満たしていなかった。そのため文部省(現・文部科学省)から、両大学の統合が必要との通達を受けていた。

 そうした中、沖縄問題懇談会座長を務めていた大浜氏は、沖縄大と国際大の統合を促し、新大学設立のための資金を復帰措置として国庫に求めるという趣旨の「沖縄における私立大学の復帰対策構想(大浜私案)」を公表するなど尽力。沖縄大の一部と国際大の統合による、72年の沖国大創立のために働いた。

大浜信泉氏に関する資料を寄贈する沖縄国際大の前津榮健学長(右)と石垣市教育委員会の崎山晃教育長=3日、石垣市

 今回寄贈された音声には、大浜氏が自身を「産婆(さんば)」に例え、産みの苦しみを語る場面などが収められている。

 3日、市教委を訪れた前津学長は「音声を聞くと、大浜先生が大学創立についてとても苦悩していたことが分かる」と資料の価値を評した。

 資料を受け取った市教委の崎山晃教育長は「新たな資料をいただき、感謝する」と述べた。

 新資料は今後、市内の大浜信泉記念館で展示する予定だという。

(西銘研志郎)