「釣れましたか?」よく見ると実は… “釣り三昧の一家”地域で話題 沖縄・名護の有津


「釣れましたか?」よく見ると実は… “釣り三昧の一家”地域で話題 沖縄・名護の有津 住民や通行人に評判のかかしの「釣り一家」=6日、名護市天仁屋区有津
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 【名護】名護市天仁屋区有津(地元ではアッツ)の有津橋のたもとで日がな一日釣りを楽しんでいる「一家」がいる。くば笠のおじいと麦わら帽子のおばあに孫1人。国道331号を背に腰かけている3人に「釣れましたか」と声をかけても何の返事もない。よくよく見るとかかしだ。作ったのは同地区の我如古愛子さん(65)。

 約半年前に有津川と国道間の空き地をボランティアで整備中に、遊び心で「おじい」を作ったのが始まり。1人だけでは寂しいからと「おばあ」と「孫」を並べた。コーガーキー(頬かむり)をしてチンブク竹(釣り竿)をかざすおじい、同じく杖をつくおばあ、2人の間で「釣れてるよ」と言わんばかりに指をさす孫の姿、いずれもリアリティー満点だ。

 天仁屋区の小字である有津は世帯数7、人口15人の集落。見守りで訪れた警察官が全世帯留守で住人に会えず、折よく見つけた「釣り一家」に様子をうかがったところ、かかしであることに気づいた、というエピソードも。先の台風6号接近時に3人を“避難”させた際には「しばらく旅に出ています」の看板が掲げられた。

 国道沿いの花壇をほぼ毎日手入れしている我如古さんは「こんなに人目を引くとは思わなかった。ごみの山になっていた空き地の保全と、下り坂でスピードが出やすいので、交通安全にかかしが少しでも役立つならうれしい」と話した。

 住民からもこの「釣り一家」が心を和ませてくれていると評判だ。
 (嶺井政康通信員)