有料

熱狂、火のぶつかり合い 22年ぶりに伝統行事 金武町金武区


熱狂、火のぶつかり合い 22年ぶりに伝統行事 金武町金武区 たいまつをぶつけ合う「テービ―」で、火の粉を散らす金武区民ら=9月29日、金武公会堂前広場
この記事を書いた人 Avatar photo 金城 大樹

 【金武】金武町金武区で旧暦の8月の十五夜に当たる9月29日、22年ぶりに伝統行事である旗頭「トゥール」(金武区史によると灯籠)と「ガーエー」(ぶつかり合い)、「テービー」(たいまつ)が金武公会堂前広場で披露された。本来、金武区・並里区対抗大綱引きなどで披露される。激しく火の粉をまき散らしながらぶつかり合う姿に、見守る人々も歓声を上げた。4年ぶりとなる観月祭の一環で、区民らによる演舞や獅子舞、みるく神などの出し物も会場を盛り上げた。

 観月祭は金武区内のノロ殿内への獅子舞奉納から始まった。全ての演目終了後、金武区伝統芸能保存会がガークを鳴らし、区内を東西に分けた両陣営がトゥールを掲げると、会場の熱気は一気に膨らんだ。子どもらもわれ先にと前に集まり、22年ぶりの伝統芸能に見入った。

 トゥールが終わると、ガーエーが始まり、両陣営が竹をぶつけ合って士気を高めた。最後に行われたたいまつをぶつけ合うテービーで、盛り上がりもピークに達し、火の粉が舞う中、子どもも大人も「ヨーチャイ」のかけ声で両陣営を応援した。

 金武区の伊芸達博区長(75)は「若い世代に継承するために披露できてとてもよかった。こういうことがあったなと思い出に残してもらいたい」と22年ぶりの区の伝統行事の復活を喜んだ。家族と観月祭に訪れた棚原蓮汰さん(7)は「火が出ているのがとってもすごかった」とテービーの迫力が忘れられない様子だった。

 (金城大樹)