第119回秋の全島闘牛大会(主催・沖縄県闘牛組合連合会、共催・琉球新報社)が12日午後1時から、うるま市石川多目的ドームで開催される。開場午前9時、開会式は午後0時半。入場料は男性3千円、女性2千円、中高生千円、小学生以下は無料。当日は午前9時から午後5時まで石川庁舎と会場間を無料シャトルバスが運行する。今年の春の全島大会は全国の闘牛ファンからこれまでにないほどの高い関心を集めたが、今大会も引けを取らない好取組がめじろ押しだ。当初予定の11試合から10試合に変更になった。シーの1番全島一決定戦バブル対新力Babyを筆頭に、沖縄闘牛界の今を彩る精鋭牛たちが技を競い、しのぎをけずる。 (平川智之通信員)
◇当日は午前9時から午後5時まで、石川庁舎と会場間でシャトルバス計7台を巡回運行します。
ドーム駐車場は関係者専用ですので、一般来場者はシャトルバスをご利用ください。
◆全島一決定戦(県知事杯) バブル×新力Baby スター牛同士の対戦
全島一決定戦(県知事杯)は闘勢琥珀の徳之島へのトレードによって空位となっている王座を、5連勝無敗のバブルと10連勝無敗の新力Babyで争う。両牛は沖縄を代表する生え抜きの花形牛であり、闘牛ファンの人気を二分するほどのスター牛だ。
バブルはトガイー角を使い、全体重を乗せた強烈なカケ技を得意とする。父は沖縄、徳之島で活躍した元軽量級王者琉仁謝名親方だ。2022年6月の初戦をちゃんちゃんと対戦し3分15秒で白星スタート。続いて美剣龍、南星朱蘭、目手久青年団アヨー、イーグル王に勝利している。とりわけ評価を上げたのが、春の全島大会でカケ技の名手、南星朱蘭との一戦だ。南星朱蘭のカケ技をものともせず逆にバブルがカケ技で一気に押し込み勝負を決めた。この南星朱蘭との対戦タイムこそ7分1秒だが、他はすべて短期決戦で制しているのをみると、その攻撃力と決定力は群を抜いているのではないだろうか。
対する新力Babyはかわいらしい名前からは想像できないような破壊力満点のカケ技からの腹取り速攻を得意とする。こちらも中量級で活躍した人気牛・梨夢神を父に持つ優良血統だ。20年の優琉神炎炎嵐との初戦を皮切りに10連勝の快進撃が続いている。そのなかでも注目したいのは今年1月の刃誡皇との対戦だ。元中量級王者が手も足も出ないほどの圧倒的な攻撃で、わずか4分足らずの完封勝利は圧巻だった。その他に全勝工業カキヤーとは20分弱の長期戦の経験もある。全島大会初出場にして全島一決定戦の大一番の舞台で、いつも通りに躍動して大輪の花を咲かせることができるか。
両牛ともカケ技を軸に攻撃を展開していくことから、どちらの首力が上回るかが勝利の鍵を握りそうだ。果たして沖縄闘牛界の最強の称号はどちらの手に。
◆中量級優勝旗争奪戦(うるま市長杯) 黒獣王×刃誡皇 荒技牛か多彩な技か
中量級優勝旗争奪戦(うるま市長杯)は、先場所初防衛に成功した黒獣王と、2度の敗戦をばねに王座返り咲きを狙う刃誡皇が激突する。
黒獣王は内向きに鋭くとがったガン角を武器に強烈なワリ技から腹取りを得意とする徳之島産の荒技牛だ。5月の春の全島大会で勢頭カキヤーとの決定戦を制し初のタイトルを手にした。毎回そつがない試合運びで安定感のある戦い方に定評があり、闘牛ファンの支持を得ている。2018年に徳之島でデビューし3連勝後、沖縄に活躍の場を移し現在12連勝無敗を誇っている。主な戦績として東山カキヤー(現全勝工業カキヤー)と対戦タイム約32分、ジュピター、闘将弁慶、永昇斬鉄、伊良皆圧送阿紋努愛などに勝利している。初防衛戦となった夏の全島大会では、格下と思われた闘勢心玖留のリーチを生かしたツキ・ワリ攻撃を前に、思わぬ苦戦を強いられる結果となった。難攻不落の王者黒獣王の牙城を崩すわずかな隙をのぞかせたのではないか。
一方、刃誡皇は頭を合わすだけで相手の顔面を突き刺すような鋭く長いトガイー角を持ち、ワリ技、カケ技、腹取り速攻と多彩な技を繰り出す強豪牛だ。17年のデビュー戦から4連勝と白星を重ねるとその実力が評価され、21年秋の全島大会で中量級全島一決定戦に抜てきされた。決定戦ではベテラン牛金太郎を豪快な腹取りで下し初のタイトルを獲得した。しかし、翌年の春の全島大会で南星阿炎の挑戦を受け臨んだ初防衛戦は、強烈な腹取りを浴びせられ撃沈する。再起をかけた復帰戦で全勝工業カキヤーと対戦し約10分で勝利する。今年1月には新力Babyと対戦し2度目の黒星を喫してしまう。3月に行われた屋慶名大闘牛大会でどなんトガイに2分弱で勝利。通算7勝2敗。刃誡皇は黒獣王の打撃をかいくぐり、勝機をつかみたいところだ。
◆軽量級優勝旗争奪戦(琉球新報社長杯) 彪獣王×与那国同志号 対照的な角構え激突
軽量級優勝旗争奪戦(琉球新報社長杯)は、8月に行われた夏の全島大会で初タイトルの栄冠を手にした彪獣王が最強のチャレンジャー与那国同志号を迎え撃つ。
王者彪獣王は持ち前の長いトガイー角を使った割り技を中心に掛け技を繰り出すバランスのとれた戦い方をするのが特徴だ。また、もたせ込みでペースを握り、相手の体力を消耗させる持久戦も得意とする。彪獣王は徳之島で山田牛虎の名で活躍、4勝1敗で沖縄へトレード。移籍後は勝志勝ヌパンダ、嵐丸、ニブラに勝ち。先場所のタイトルマッチで常勝会テスリ華梨を腹取りで撃破し王座を奪取した。挑戦牛を退け、初防衛なるか注目したい。
初の軽量級全島一を狙う与那国同志号は、ボーヌーと呼ばれる戦う面では不利とされる横開きの角を持ち、電光石火の腹取り速攻を得意としている。与那国同志号は昨年4月の八重山闘牛大会で与那国ボーチュラーの名前でデビューし2連勝したのち、活躍の場を沖縄本島に移すと、現在8連勝負けなしと破竹の勢いを見せている。主な戦績は、あん樹彦星、昇(マチー大城)龍、ファイティング大吉などに勝利している。与那国闘牛組合に初の全島一優勝旗をもたらすことができるだろうか。対照的な角構えの両牛の対戦の見どころとして、彪獣王のワリ技に臆することなく与那国同志号が果敢に攻め込むことができるかが明暗を分けそうだ。