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「集団自決」の島で平和学び ケラマブルーの海で自然体感 東京の小学生、渡嘉敷島で 沖縄


「集団自決」の島で平和学び ケラマブルーの海で自然体感 東京の小学生、渡嘉敷島で 沖縄 吉川嘉勝さん(右)の戦争体験の話に聞き入る児童ら=10月26日、渡嘉敷村の「集団自決跡地」の慰霊碑
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【渡嘉敷】東京の和光鶴川小学校(大野裕一校長)の6年生68人、教員5人が10月26日、那覇から村営高速船を利用し、日帰りの日程で渡嘉敷村を訪れた。沖縄戦体験者の吉川嘉勝さん(84)らを講師に招いた平和学習を行い、島の戦争の悲劇「集団自決」(強制集団死)などを学ぶとともに、渡嘉志久ビーチのケラマブルーの海でマリン体験を楽しむなど、島の自然を満喫した。

 一行は、渡嘉敷村の北山高地(標高約200メートル)の西展望所で座間味島などの慶良間諸島の島々を眺めながら「慶良間諸島の沖縄戦」の概要説明を聞いた。その後、同地で自ら作製した締め太鼓でエイサーを全員で踊り、戦争犠牲者の霊を慰めた。

 同地の「集団自決跡地」慰霊碑を訪れ、吉川さんの体験に耳を傾け、黙とうをささげ平和を誓った。バスで移動し、渡嘉敷集落や渡嘉志久ビーチなどのことも学んだ。

 3泊4日の日程で沖縄を訪れて、沖縄の自然、文化、歴史、平和について学ぶ「沖縄学習旅行」は今回で27回目。ひめゆりの塔など南部戦跡を巡り、平和祈念公園(平和の礎、韓国人慰霊の塔など)では平和集会を開いた。首里の第32軍司令部壕跡、米軍嘉手納基地の見学のほか、浦添市の内間青年会とのエイサー交流、うるま市の宮森小学校児童との交流なども行った。

 大野校長は「沖縄から多くのことを学んだ子どもたちが、これからどんな学びをつくっていくのか、どんな生き方をするのか、とても楽しみにしている」と語った。

 母親が沖縄出身の青柳えれなさん(11)は「今まで知らないことがたくさん学べた。沖縄のことを多くの人たちに伝えていきたい」と声を弾ませた。脇田智和さん(11)は「集団自決は想像できない恐ろしさ、むごい出来事だと分かった。二度と戦争を起こしてはいけない」と力を込めた。

 (米田英明通信員)