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ジュゴン保護の課題共有 宮古で初連絡会議 行政や漁業者ら 藻場保全など確認


ジュゴン保護の課題共有 宮古で初連絡会議 行政や漁業者ら 藻場保全など確認 「2023年度ジュゴン保護対策宮古諸島関係者連絡会議」に出席した関係者ら=9日、宮古島市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【宮古島】2023年度ジュゴン保護対策宮古諸島関係者連絡会議が9日、宮古島市役所で開催され、県や環境省、市、漁業や観光、保全に携わる関係者らが出席した。近年、先島諸島でジュゴンの目撃情報やはみ跡が複数確認されていることに触れ、ジュゴン保全に向け情報共有などの重要性を確認した。市での連絡会議開催は初めて。
 県の調査によると、22年に市伊良部島佐和田と名護市久志で採取したふんからジュゴンのDNAが検出された。ジュゴンの目撃情報がここ数年であるという。
 19年ごろに「先島周辺にジュゴンがいるらしい」との情報が入った。それまでは、本島周辺のみに生息しており先島周辺では絶滅した可能性が指摘されていたという。環境省が聞き取り調査をすると、有力な情報が集まり、その後にはみ跡も複数発見された。
 環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室の担当者は保全に向けた取り組みとして、県内の漁業者らと協力して定置網にジュゴンがかかったことを想定した訓練「ジュゴンレスキュー」を実施してきたことを紹介。関係団体が目撃情報などを共有するほか、えさ場となる藻場を保全することの重要性を訴えた。
 参加者の男性は「養殖もずくが食べられるなどの被害があれば、ジュゴンのことを肯定的に受け止めない人も出てくる。『ジュゴンを守り、生態系を維持することが、結果として漁場を守ることにつながる』など保全の意義をより多くの人が理解することが重要になる」と話し、保全の協力者を増やすためにも丁寧な説明が求められるとした。 (友寄開)