【宜野座】宜野座村宜野座区に仲良し母娘がいる。仲間清子さん(88)は、一時、名護市内の有料老人ホームで過ごしたが、娘の春美さんがいる自宅が恋しくなり、約1カ月半で帰宅した。いったん入居した老人ホームから自宅に戻るのは異例の出来事で、周囲を驚かせた。帰宅した清子さんに、春美さんは「おっかぁ、今日からずっと一緒だよ」と、語りかけた。
清子さんと春美さんは母娘2人で暮らしていた。春美さんはデイサービスやショートステイを利用しながら、介護と仕事を両立していたが、6年ぶりに開催される豊年祭の準備や仕事で忙しく、悩んでいた。
春美さんは清子さんが入居できる施設を探し、名護市内の老人ホームに決定した。入居して安堵(あんど)したのもつかの間、思いも寄らぬ事態が発生。清子さんが食事、水分摂取を放棄したのだ。
「家に帰りたい」「家で風呂に入りたい」と訴え、文字通り「ハンガーストライキ」の状態だったという。春美さんは連日、施設に出向いて食事介助をしたが、衰弱は進行。春美さんは、悩んだ末、清子さんを自宅に連れて帰った。
帰宅直後に奇跡は起きた。食事を拒み続けた1カ月半がうそのように、用意された夕食を完食、一夜にして全快を果たした。
「目、開けてる?」と、いたずらっぽく頰をつねる春美さんに「わちゃくさんけ(いたずらをするな)!」と、言葉を発する清子さん。冗談を飛ばしながら、2人の「仲良し攻防」は続く。 (池辺賢児通信員)
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「ずっと一緒」仲間さん母娘/宜野座/施設から1カ月半で帰宅
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琉球新報朝刊