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手作り芭蕉紙で卒業証書 那覇・城西小 首里城公園で紙すき体験


手作り芭蕉紙で卒業証書 那覇・城西小 首里城公園で紙すき体験 芭蕉の繊維が混ざった水で紙すきをする城西小6年生の児童ら=11月16日、那覇市の首里城公園内
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 【那覇】那覇市立城西小学校の6年生(116人)が、琉球王国時代に首里で作られ始めた芭蕉紙を自分たちで作って卒業証書にする活動に取り組んでいる。県経営者協会が開催する官民交流の人材育成事業「かりゆし塾」の第34期生が、伝統の芭蕉紙を地域の人に知ってもらおうと企画し、同小に呼びかけた。児童たちは、初めての紙すき体験に手間取りながらも、世界に一枚の卒業証書作りを楽しんでいた。
 芭蕉紙は、芭蕉の茎を細かく刻んで煮て、さらに粉砕し、出来上がった繊維を混ぜた水をすいて作る。手間がかかるため、クラスごとに作業日を分けて行われた。
 11月16日には2組と3組が首里城公園内で紙すき体験に挑戦した。石原有さん(11)は紙すきで紙の厚みを均等にするのに悪戦苦闘。「初めてで難しかったけど楽しかった。自分が作った芭蕉紙が卒業証書になるのはうれしい。千年くらい長持ちすると聞いた。紙を見るたびに小学校生活を懐かしむと思う」と話した。謝敷凜さん(11)も「芭蕉紙を知らなかったけど、もっと知りたくなった。完成が楽しみだ」と笑顔を見せた。
 琉球大学教育学部准教授で美術教育を教える仲間伸恵さんが指導した。仲間さんは「デジタル化の中で自然の素材から作る面白さや、芭蕉紙の発祥の地としての誇りを感じてほしい」と話す。主催したかりゆし塾34期生7班代表の吉里昌之さんは「芭蕉紙を多くの人に知ってもらい、地域と一緒になって守っていきたい」と話した。
 (岩崎みどり)