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98 手登根公民館 (南城市) アカバンタに守られ伝統継ぐ


98 手登根公民館 (南城市) アカバンタに守られ伝統継ぐ 古式エイサーを踊る区民ら=8月31日、南城市佐敷手登根
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 南城市佐敷を一望できる高台アカバンタがある手登根区は、尚巴志王の弟・手登根大比屋(うふや)が育んだ集落とされる。
 緑あふれる佐敷の丘の麓に位置する手登根公民館には、区の名所などが詠まれた琉歌を民謡にした「手登根の島」の歌詞が掲示されている。今年1月にCDが完成し、嘉数勝實区長(64)は「歌中の『アカバンタ腰当(くさ)て』は、手登根がアカバンタに守られているという意味」と解説する。
 戦前に毛遊び(もーあしび)が盛んに開かれたアカバンタは、若い男女の出会いの場だった。再び地域の憩いの場にしようと有志が同地を整備し、2017年に民謡「あかばんた」の歌碑を建て、舞台も設けた。現在は隔年で毛遊びを開催し、民謡ショーなどが披露されている。
 区伝統のエイサーは、昔ながらの形を色濃く残す「古式エイサー」として有名で、さまよう霊をあの世へ帰すため、旧盆最終日ウークイの翌日に区内7カ所の拝所を回って踊る。
 三線や太鼓などに合わせて念仏はやしを唱え、落ち着いた音楽と踊りが特徴だ。踊りを次の世代に引き継ぐため2013年にエイサー保存会が発足し、3カ月に一度練習に励む。
◇    ◇ 嘉数勝實区長から一言 区民の気質はゆっくりいこうという意味の「ゆうゆうとぅ」の雰囲気がある。後任の区長も自治会を盛り上げてほしい。
◇    ◇ 手登根区のメモ 2023年4月末時点で354世帯、865人が住む。 (上江洲仁美)(金曜掲載)