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コザブンカボックスが20号 沖縄市発刊 タコライスやAサイン 文化を幅広く


コザブンカボックスが20号 沖縄市発刊 タコライスやAサイン 文化を幅広く コザブンカボックス第20号を紹介する沖縄市の市史編集担当の伊佐真一朗さん=9日、沖縄市のヒストリート
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【沖縄】沖縄の日本復帰から15日で52年。復帰前から米軍基地があり、米国文化の影響を受けた沖縄市は、市の歴史を探る冊子「KOZA BUNKA BOX(コザブンカボックス)」を発刊し続けている。20号となる今回のブンカボックスは、テーマを設けずさまざまな分野の内容を扱った。タコライスの食文化から市や県の文化の成り立ちを見つめ直す論文や、Aサインの運用に関する資料の翻訳、解説した記事など、8項目を掲載している。
 東京都出身の深津萌花さんはタコスとタコライスを題材に文化の混交化過程に関する論文を寄稿。深津さんが津田塾大学大学院の学生の時に手がけた修士論文を元に、沖縄のハイブリッド文化について探った。
 深津さんの論文によると、タコス生地はメキシコではトウモロコシ、米国では小麦粉が主に使われるが、沖縄では二つを混ぜ、外はカリカリ、中はもっちりの「メキシカンでもアメリカンでもない、オキナワンなタコス」が生まれた。
 タコライスの発祥と波及についても調べ、一般的に元祖と言われる「パーラー千里」(金武町)が開店した1984年以前に、コザの「ニューヨークレストラン」などでタコライスがまかない料理として出されていたことを指摘した。
 ブンカボックスは町の歴史をとらえ直すことで、町の個性をつかみ街づくりにつなげるなどの目的で発刊されている。98年に創刊され、県民だけでなく県外の研究者などからの需要も高いという。
 20号は深津さんの論文のほか、市史編集担当の恩河尚さんは沖縄市の「チャンプルー文化」の概念を整理した。赤道自治会から市に寄贈された、終戦直後の1946年から60年代ごろまでの人の出入りを管理する資料などを紹介する記事なども掲載されている。
 市史編集担当の伊佐真一朗さんは「今回のブンカボックスはチャンプルー文化と呼ばれる沖縄市の実相を明らかにする強力な手がかりになるだろう。皆さんにも手に取っていただきたい」と呼びかけた。
 同書は市役所市史編集担当の窓口とヒストリートで販売されている。価格は700円。県外からの注文には郵送などの対応も可能。問い合わせはヒストリート、電話098(929)2922、市史編集担当、電話098(929)4128。 (福田修平)