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補償金の申請を呼びかけ 元患者家族が対象、29年まで


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【宮古島】ハンセン病に関する正しい知識の普及などを目的としたパネル展の一角に、ハンセン病の元患者家族を対象とする補償金の申請を呼びかけるポスターも展示された。ことし11月までだった申請期限は5年間延長された。しかし家族の中には、いわれのない差別や偏見を恐れ、補償金を申請に踏み切れない対象者も多い。
 元患者を家族に持つ60代女性は「申請手続きを進める中で、周囲が元患者の関係者であることを感づくかもしれない」と、偏見や差別を恐れる家族の苦しみを語った。女性は「『気付かれるぐらいなら、申請はしない』と思う人も少なくない」と話す。その上で「裁判で被害が認められたけど、偏見や差別はいまだにある。『私の家族は元患者だ』と言いたいけど、なかなか言えない。この思いを受け止めてくれる社会が実現してほしい」と切実な思いを吐露した。
 ハンセン病元患者家族に対する補償金は、今年11月が申請期限だったが、申請期限を5年間延長する改正家族補償法が成立。2029年11月までとなった。
 家族補償については、国の隔離政策による家族への被害を認めて賠償を命じた家族訴訟の熊本地裁判決(19年)を受け、国が補償を進めてきた。しかし、認定は国の想定の3割強にとどまっているという。